四季折々の花と散策風景

SPRING

 梅が咲きはじめる早春の頃は、まだ少し肌寒いけれど、日向にたたずんでいると春のぬくもりが、梅の甘い香りとともにふんわりと感じられます。そんな幸せ気分にひたっていると、どこからか鴬のさえずりも…。花鳥風月の雅びな世界に入り込んだような、ちょっと不思議な気持ちになりました。そんな梅の花との出会いがうれしくて何度も北鎌倉を訪れるうちに、晴れの日もいいけれど少し曇った日や小雨の日も好きになりました。空気がしっとりとして、白い花もよりしとやかに感じられる気がします。
 さて自己紹介が遅くなりましたが、私は会社勤めにも慣れ、やっと少し気持ちの余裕のでてきたOL?年生、横浜に住んでいます。勤務先よりも北鎌倉のほうが近いのですが、よく訪ねるようになったのはここ数年。最初はガイドブック片手に、ひたすら歩き回りましたが、今ではのんびりと季節を感じながらの散策の心地よさを楽しんでいます。いろいろな出会いもあり、癒し効果はもちろん、ちょっとした精神修業の場のようにも感じている今日この頃なんですよ。

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SUMMER

 春から初夏にかけて、とくに紫陽花の咲く頃は、北鎌倉の観光シーズンのピークです!よくもこれほどと思うくらい、観光客であふれています(私もその一人ですが…)。やはりみんなも自然に触れて、癒されたいという想いは同じなのですね。お店はどこも長い行列になるので、私は少し時間をずらして行くようにしています。また有名な紫陽花の名所もいいけれど、あまり観光客のこない路地を歩きながら、各庭の紫陽花を見て歩くのも楽しいですよ。
 紫陽花の季節が終わると、いよいよ夏本番!猛暑のときでも、北鎌倉は木陰に入れば本当に涼やかで、木々の間を抜けてくる風がなんとも気持ちがいいですね。爽やかな植物の香りも感じられて、アロマテラピー効果もあると思います。楽しくあちらこちら歩き回ればお腹も空いて、お目当てのお店で気ままにランチをしたり。体も心もグングン健やかになって行く気がします。

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AUTUMN

 私は両親と暮らしていますが、北鎌倉へはいつも一人で出掛けていました。一人の気ままさが好きなんですね。でも帰ってからいろいろな話をするので、母はいつも「いいわね~」と少し羨ましそうでした。そこで父の定年退職を機に、両親と出掛けることにしました。母はウキウキ、父は少しシブシブといった感じでしたが、横須賀線に乗り込むと、父もウキウキ、ちょっと楽しそうな様子で、若い頃の鎌倉での思い出話などしてくれました。
 北鎌倉に着くと「こんなに近いの!?」が両親ともの感想。「これなら思い立った時に来られるじゃない」と母が目を輝かせていました。もしかしたら両親も北鎌倉にはまってしまうかも。そんな予感がしました。その日はお気にいりの散策コースを歩き、とっておきのお店で、ちょっと優雅にお食事。楽しそうな両親を見て、親子三人で来るのも悪くないかも、と思いました。そしてある日、予感は的中!夕食の時に「今日は午後から晴れたから、二人で北鎌倉へ行ってきたのよ」とうれしそうな母の報告。父ともあれこれ話がはずみました。いつにもまして楽しい夕食でした。

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WINTER

 紅葉の季節から初冬の季節になると、景色は一変します。落葉樹が葉を落とし、なんだかモノクロームの世界を見ているようです。美しい墨絵のようだとも思えます。カサコソと落葉を踏みしめながら歩くのもまた格別。心静かになり、日頃のストレスも消えていってしまいます。真冬でも比較的温暖な鎌倉は、天気の良い日はコートを着ていない人も多く見られますが、私はしっかり冬支度。少し日が陰ったり、夕方になると気温はグンと下がってしまうからです。ご用心!
 ある時、人気の少ない境内を歩いていたら、見覚えのある人が…。なんと大阪に嫁いだ、大学時代の友人でした。「美和じゃない!?」「どうしてここに!?」。聞けば今日はご主人が横浜で学会、それならばと彼女も連れ立ってきたのだとか。一人が好きな私ですが、この日ばかりは二人連れ。散策しながらの近況報告、ティータイムと楽しい時間は続きました。学生時代の気分がよみがえる、こんな素敵な再会があるのも北鎌倉だからこそと思いました。

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